一般的なガラスの主成分は二酸化珪素であり、化学的には非常に安定しています。酸やアルカリを含むほとんどの薬品と反応しません。特に、ホウ酸を含むホウケイ酸ガラスで熱膨張を抑えたものは耐薬品性が高く熱にも強いため理化学機器に使用されています。また、ガラスは分子構造が密であり空気などのガスを遮断するため、真空管や蛍光灯など高度に気密を必要とするところに使用されています。特にブラウン管やプラズマディスプレイパネルなどの電子線や紫外線にさらされる機器については、高い安定性が必要なためガラス以外の材料は使用することができません。
ガラスは、混合物でありその主成分によって大きく左右されます。一般的なものは二酸化珪素からなり、密度は2.5〜3(g/cm3)、熱膨張係数は30〜100(10-7/cm)程度です。また、ガラスは粘度の大きい液体と解釈されているので明確な融解(凝固)点が存在しません。ただし、分子の運動から見た固定された状態との変化点をガラス転移点といい、流動性を示し始める温度を軟化点といいます。ホウ酸など非金属化合物を添加した場合はあまり変化ありませんが、アルカリ・アルカリ土類金属化合物を添加すると密度・熱膨張係数ともに大きく、転移点・軟化点ともに下がる傾向があります。特に鉛・錫・ビスマスなど低融点金属の化合物を多量に含むガラスは、密度が4〜8(g/cm3)と大きく、軟化点が300〜400(℃)と低くなります。
一般にガラスは透明というイメージがありますが、これは、窓ガラス・ガラス食器・レンズなど身近なガラス製品が透明であるためです。これは可視光線に対して透明であるためですが、必要に応じて主成分を代えたり、添加物を加えることで紫外線や赤外線に対して透明なガラスも作ることができます。また屈折率や分散率も変化させることができます。色ガラスは金属などを、イオンやコロイドにしてガラスに溶かし込んでいるものです。ガラスの光学的な特徴として意外に知られていないものに、偏光しないという特徴があります。水晶やダイヤモンドといった結晶性の透過光は結晶によって偏光や複屈折を起こしますが、結晶構造を持たないガラスは固形であっても光学的には液体の特徴を示します。(表面反射での偏光は起こります。)
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